4 ファーストデート

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「お願いだから、そんなこと、真っ昼間から言わないで!」 「言わなきゃわかんないからだろ!!」 はい、ごめんなさい。 「ホントにスカートで、ボウリングはしないから、ね?」 拝むように手を合わせ謝ると、遙は肩を竦めて呆れたようだった。 「ったく、オレの気持ちも少しはわかってくれよな」 「うん、ごめん」  思えば、植山くんとデートしたと言っても、ただ二人で喋りながら公園を歩いて、茶店でお茶しただけだった。 こうやって手をつないで町中を歩いたり、たわいもない会話をしてドキドキするデートって初めてだ。 「ねえ遙、ちゃんとしたデートって初めて」 いつの間にか、私よりも10センチも背が高くなった遙を見上げると、彼も満足そうにうなずいている。 「オレもだよ」  ………あれ? だって、遙には彼女とかいたんじゃないの? 「だって、キスマークついてたくらいじゃん」 つないでいた手を離して、ウエストを抱くように回されてしまった。 より二人の距離が縮まって、耳元で遙の声がした。 「アレはヤリたかっただけ! お前が、初彼氏とのデートとかって浮かれまくってるから、イライラしてたし………。 それ以前にも、適当に女食った事はあるけど、みんな恋人じゃない。  それに、もう忘れろよ。 キスマークの事。 遊びで寝る女にキスマークつけられるなんて、オレもナメられてるよな? ホント、人選ミスって感じ」 時々、遙が怖くなる。 こうやって、密着しているのに、なぜか遙を遠くに感じてしまう。  ヤリタカッタダケ。 アソビデネルオンナ。 私の知ってる遙は、そんなセリフを言わない。 もちろん幼い頃の遙って意味じゃなくて、つき合ってからも含めて、遙はいつも言葉は乱暴でも、その表情や眼差しに優しさや愛情が滲みでているのに、今の遙にはそんなのまったく感じられない。 ウエストに回された腕の力強さが、怖い。  もしかして、遙って、ホントはすごく怖いの? 私が知らないだけで、平気で本能だけで女の子を抱いてしまうような人なの? 「どうしたんだよ? 不満そうな顔して、お前が昼間から変な事言うなって怒るから、小声で喋ったんだじゃん」 うん。 ソレは、わかってる。 じゃないと、急に耳元で話しかけたりしないだろうから。
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