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でも、違うんだよ。
不満に思ってるのは、そんな事じゃなくて………もっと、こう………。
奥深い、根本的な事のような気がするの。
私の知らない遙を知りたいと思う反面、心のどこかで未知なるモノへの不安が存在している。
「女の子って、かわいらしい茶店とか好きだろ?
この辺りに、そういう店あるか志緒理知ってる?」
私は、目覚めつつある不安を無理矢理心の奥底にしまい込みながら、なるべく楽しい事だけを考えるようにした。
せっかく、遙とつき合えるようになったのに……。
「うーん、あんまり寄り道とかしないから、知らないや」
「そっか、オレが良く行く所はヤンキーばっかりだから、危ないし…どうしようか?」
遙の言葉の後半部分は、聞いてなかったのかもしれない。
遙が良く行く所?
何処?
ソコがいい!
普段の遙って、どんな感じなんだろ?
「行きたい!」
「え?マジっすかぁ」
私は大きくうなずいた。
マジっす!大マジっす!!
「遙のお友達とかも、よく行ってるんでしょ?」
遙は、首をひねりながら笑った。
「いや、お友達じゃなくて、仲間な。
この前会った太郎が、魔怒の隊長なんだ。
もう一人いたいかつい方は、大胡(だいご)旗持ち。一つ下の2年なんだけど、やたらとバイクの運転が上手いから、先輩を追い抜いての大出世」
太郎くんや、大胡くんじゃなくて、遙はどういうポジションにいるんだろ?
族の地位ってわからないけど、きっと偉いと思うのよ。
よく、遙の家の前で後輩たちが待ってたりしてるのを見てたし。
「だいたい、総勢30人くらいかな?
ギャラリーとかいれると、もっとになるけど、ちゃんとメンバーなのはおいおい紹介してくから」
30人?
ソレって、学校の一クラス分くらいの人数じゃない。
凄いなぁ。ヤンキーってかなり健在なのね。
「ね、ギャラリーって何?」
「ん?ファンみたいなモノかな?
走ってる時に、周りからついて来たり、遠巻きに見たりするやつら」
うーん、じゃあ佳織ちゃんもギャラリーの一人なのかな?
「私もギャラリーする!!
遙が走ってる所、見てみたい」
遙は驚いたように、目を見開くとすぐに微笑みに変えた。
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