4 ファーストデート

9/11

19人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
「ダメ!危ないから、志緒理はおとなしく家で待ってるの! いつ、ケンカになるかわからないんだし」 「佳織ちゃんと一緒にいるから、それでもダメ?」 「うーん、佳織は特別なんだよ。 女はチームに入れない決まりなんだけど、マスコットだけは別なんだ。 メンバーはマスコットに忠誠をささげ、男ぶりを上げようとする。  で、太郎は佳織をマスコットにしようと、今口説いてるんだけど、本人は嫌がってる。」 マスコット? 色々あるんだぁ。 「じゃあ、みんなが佳織ちゃんを守るの?」 「まぁ、そんな感じかな? 上手く説明できないけど、そのうちわかってくと思うよ」 前から思ってたけど、遙との会話には私にわからない単語があったりする。 でも、一つ一つ遙は説明してくれる。 タマには面倒くさそうだったりもするけど、ちゃんと教えてくれる。 遙の世界に、私を受け入れてくれてるみたいで、すごくうれしい。  スラッシュって名前の茶店の前までつくと、遙は、つないでいた手を離して、ドアを開けた。 「なんか、照れるよな。仲間に紹介するのって…」 めずらしく、頬を赤く染めながら遙は勢いよく中に入った。 「遙先輩、お久しぶりです!」 「おう、遙いいところに来たな!今麻雀仲間集めてたんだ」 口々に、中にいた仲間が遙に挨拶をする。 後ろにいる私に視線を注ぎながらも、誰も話題にしようとしない。 「あ、えっと……」 遙は、適当に相づちを打ったり挨拶を交わした後、私を席に座らせ、言いにくそうに口ごもっている。 「あれ?志緒理ちゃんだろ? 遙と仲直りできたんだ」 太郎くんが、そんな遙に気づいて話題をフってくれた。 「ああ、あのときはありがとうな。佳織にも言っといてくれる?」 そうだ、この二人の援護射撃のおかげで、今こうして遙とつき合う事になったんだ! 感謝しなくちゃ♪ 「それはいいけど、何だよ改まって。結婚でもするとか?」 太郎くんのセリフに、チラチラと送られていた視線が、一斉に私に降り注いだ。 ………結婚って、まだ年齢的にも無理だって!! 「いや、違くて…オレ、コイツとつき合ってるんだ。だから、お前らも志緒理に手を出すなよ?」 「そっか、遙が面倒かけると思うけど、よろしくな!志緒理ちゃん」
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加