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隊長さんだからかな?
この前は気づかなかったけど、太郎くんって、年齢の割に大人びている。
落ち着いた雰囲気で、当たり前のようにその場をまとめてくれる。
この人のチームに、遙は所属してるんだ。
「こちらこそ………」
「おいおいおい!ちょっと待て!
なんで、オレが面倒をかけるんだよ?」
反論する遙に、太郎くんは周りを見渡した。
「だって、オレはお前に副隊長やってもらいたかったのに、あまりの無鉄砲さに、まんまと特攻隊長になったくらいじゃん。
誰も任命してないのに、周りにそう認識させるほどの、暴れぶり!
どうせ、志緒理ちゃんにも迷惑かけまくってんだろ、その調子で」
私の頭の中で、リアルに暴れる遙が想像できて、思わず笑ってしまった。
昔からヤンチャで、お母さんやおばさん達と一緒にお出かけしても、気が付くと遙だけがいない。
自分の好きな所へ、パーッと行ってしまって周りの心配もおかまいなく行動しちゃうんだろうなぁ。
「志緒理まで、何で笑ってるんだよ?
感じわりぃ」
拗ねる遙を、みんながクスクスと笑っている。
何か、いいね。
愛されてるって感じだ。
遙を嫌いな人間なんてココにはいないんだろうな。
グルリと見渡しても、そのほとんどが優しい視線で遙を見ている。
そりゃ、仲間が集まる茶店って言ってるくらいだもんね。
口元に、うっすらと笑みだけ浮かべ、その視線を黙々とテーブルに落としている人がいた。
この前会った大胡くんだ。
「こんにちは、この前会いましたよね?
大胡くんって言うんでしょ?仲良くしてね」
彼の側まで行くと、テーブルの上には黒のシートがあって、そこにカッターや紙が散乱していた。
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