19人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
脱衣所で服を脱ぎながら、今、遙も脱いでるのかな?
なんて、ちょっとえっちな想像をしてしまう。
成長過程のひきしまりつつある筋肉。
スラリと伸びた手足。
そんなすべてが、愛しい。
誰かを好きになるって、こんな気持ちなんだ。
遙が喋る言葉の一つ一つに、遙が見せる小さな動作すらも、私をよろこばせてくれる。
少し強引に手をつなぐところとか、照れてぶっきらぼうになる所とか、もっともっと、たくさんの遙を知りたい。
お風呂から上がって、いつものようにパジャマに着替えて、部屋に戻った。
遙は、素肌の上からパーカーだけを羽織っている。
「待たせちゃった?」
「いや、それはいいんだけど………。
ごめん!オレ今からちょっと用事ができたから出かけるんだ。
また、明日喋ろうな」
それだけを言うと、遙はあっさりと窓を閉めた。
まもなくすると、外からバイクのエンジン音が聞こえてくる。
こんな時間から何処に行くんだろうか?
そう言えば、この前もそうだった。
遙はこんな時間から良く出かけている………。
どんな用事なんだろうか?
私は1分でも1秒でも遙と一緒に居たい。
せっかく恋人になったのに、ラブラブムード全開で過ごしたい。
だけど、遙は違うの?
私と一緒に過ごしたいとか、もっとお喋りがしたいとか、思わないの?
少し淋しい気持ちになったけど、私は再び机に戻った。
シートを作るために。
けたたましくバイクの音が近所に響いた。
私は窓を開けて、外を覗き込んだ。
「今日は悪かったな、ゆっくり寝ろよ?」
太郎くんと遙がいる。
「気にすんなよ!また明日な」
最初のコメントを投稿しよう!