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「志緒理!植山くんが迎えに来てるよ!!
早く降りてきなさい!!」
玄関からママの呼ぶ声が聞こえる。
わかってるって!
だけど、メイクとか服とかいまいち決まらなくて、時間が過ぎちゃったんだもん!!
ああ、変じゃないかな?
わざわざ今日のために友達と選んだワンピを着て、玄関に行くと、私の初彼氏がいた。
この前、友達の紹介でつき合う事になった植山くん。
その後電話やメールはしてたけど、二人きりで会うのは今日が初めて!
「何か、ドキドキするよな」
玄関を出ると、植山くんは私の手をスッとつないだ。
「うん」
うわぁ。
男の子と手をつなぐなんて、小学校以来かしら??
心臓がバクンバクンしてるよぉぉぉぉ。
植山くんにバレてないかしら??
恥ずかしいよ…。
まっすぐに植山くんの顔が見れない。
うわぁ、ホントドキドキしちゃう!!
照れてる二人の前から、ファイアーパターンの大きなバイクが現れた。
「…何あれ?今時ゾッキーってまだいるんだね」
確かに見るからに暴走族って人は少なくなったと思うけど、健在なんだよね。
しかも、私の家の隣にも………。
あの見覚えのあるバイクは、遙に違いない。
派手に塗装されたバイクは私たちの横に大きな音をたてながら止まった。
「志緒理にもやっと男できたんだ?
おめでとう!」
いつもノーヘルの遙は髪が乱れないようにしっかりとスプレーで固めていて、はだけた黒いシャツからは、くっきりとした鎖骨が覗いている。
「うるさいよ!!
さっさと家に帰りなさいよ!!」
「え?志緒理ちゃんの知り合いだったんだ?」
遙は植山くんに、にっっこりと微笑んだ。
「そう、知り合いなんだ。しかも一緒に風呂に入った仲だぜ、うらやましいだろ」
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
なんとかして、このバカ遙!
「それって、幼稚園の時の話でしょ!!
植山くんも、誤解しないでね?」
あわてて、植山くんに取り繕っている私を大きな声で笑いながら、遙はエンジン音と共に家へと向かった。
クッソウ!
いつも、そうなのよ。
遙は私をからかうだけからかって、さっさと逃げてしまう。
昔はすっごいかわいかったのに、いつ頃からだろうか?
生意気になっちゃったのは…。
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