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「あ!志緒理さんお帰りなさい!!
待ってたんですよ」
カーテンを閉めようとした時に、佳織ちゃんが私に気が付いた。
遙もその声につられるように窓辺に来た。
「お疲れ!佳織がさ、お前も誘えってうるさいんだけど、今から来る?」
「…んと、今日はいい。ありがとうね、また誘ってね、佳織ちゃん」
だって、遙の顔がまともに見れない。
今晩の事を考えるとドキドキしちゃって、それだけで真っ赤になってしまう。
「そっか、じゃあ私も帰る」
残念そうに頬を膨らませて唇をとがらせている佳織ちゃんに、遙は呆れたように言った。
「あのなぁ、志緒理はお前と違って忙しいんだよ!あんま我が儘言ってると、太郎に怒られるぞ?」
まるで、かわいい妹をあやすお兄ちゃんみたいな口ぶり。
きっと、ホントに遙にしてみれば妹みたいな対象なんだろうな。
見ていて、微笑ましい。
って、そんな場合じゃなかった!!
そうよ、私は忙しいんだから。
とにかく部屋を掃除して、ベッドも綺麗にメイクした。
恵美にもらったゴムを枕の下に忍ばせて、後はお風呂で自分の身体を洗うだけ。
晩ご飯まで、まだ時間あるし昨日の続きでもしようとシートを引き出しから取り出した。
羅の字のほとんどができている。
こう、字画の多い漢字って難しいんだけど、丸みのない文字はまだ簡単だった。
丁寧にカッターで切り取る。
自分でも思ったんだけど、私ってこういう細かい仕事が向いてるのかもしれない。
やっていて、楽しい♪
晩ご飯のいい匂いが鼻先をくすぐりだしたので、1階に降りてご飯を食べた。
それからすぐにお風呂に入って、丁寧に隅々まで身体を洗った。
もうすぐ、遙にすべてを見せるんだ………。
ドキドキと、鼓動が早くなる。
いつもより長くお風呂にいたせいか、少しのぼせてしまった。
今日買ったばかりの下着を身につけて、部屋に戻って、ドライヤーをかけながら、隣の部屋の窓を鏡越しに覗いてみる。
まだ、友達がいるのだろうか?
影がよく動いている。
今、9時半だよね?
まだ、みんなで遊んでるのかな?
早く遙と喋りたい。
ああそれなのに、10時になっても11時になっても、遙の部屋からはにぎやかな笑い声すら聞こえる。
遙のばかやろう!!
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