5 いざ出陣

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「あ!志緒理さんお帰りなさい!! 待ってたんですよ」 カーテンを閉めようとした時に、佳織ちゃんが私に気が付いた。 遙もその声につられるように窓辺に来た。 「お疲れ!佳織がさ、お前も誘えってうるさいんだけど、今から来る?」 「…んと、今日はいい。ありがとうね、また誘ってね、佳織ちゃん」 だって、遙の顔がまともに見れない。 今晩の事を考えるとドキドキしちゃって、それだけで真っ赤になってしまう。 「そっか、じゃあ私も帰る」 残念そうに頬を膨らませて唇をとがらせている佳織ちゃんに、遙は呆れたように言った。 「あのなぁ、志緒理はお前と違って忙しいんだよ!あんま我が儘言ってると、太郎に怒られるぞ?」 まるで、かわいい妹をあやすお兄ちゃんみたいな口ぶり。 きっと、ホントに遙にしてみれば妹みたいな対象なんだろうな。 見ていて、微笑ましい。  って、そんな場合じゃなかった!! そうよ、私は忙しいんだから。 とにかく部屋を掃除して、ベッドも綺麗にメイクした。 恵美にもらったゴムを枕の下に忍ばせて、後はお風呂で自分の身体を洗うだけ。  晩ご飯まで、まだ時間あるし昨日の続きでもしようとシートを引き出しから取り出した。 羅の字のほとんどができている。 こう、字画の多い漢字って難しいんだけど、丸みのない文字はまだ簡単だった。 丁寧にカッターで切り取る。 自分でも思ったんだけど、私ってこういう細かい仕事が向いてるのかもしれない。 やっていて、楽しい♪ 晩ご飯のいい匂いが鼻先をくすぐりだしたので、1階に降りてご飯を食べた。 それからすぐにお風呂に入って、丁寧に隅々まで身体を洗った。  もうすぐ、遙にすべてを見せるんだ………。 ドキドキと、鼓動が早くなる。 いつもより長くお風呂にいたせいか、少しのぼせてしまった。 今日買ったばかりの下着を身につけて、部屋に戻って、ドライヤーをかけながら、隣の部屋の窓を鏡越しに覗いてみる。 まだ、友達がいるのだろうか? 影がよく動いている。 今、9時半だよね? まだ、みんなで遊んでるのかな? 早く遙と喋りたい。 ああそれなのに、10時になっても11時になっても、遙の部屋からはにぎやかな笑い声すら聞こえる。 遙のばかやろう!!
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