5 いざ出陣

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私はうなずきながら、窓から離れて遙を待った。 彼は、手際よくスルリと部屋に入って来た。  だけど、どう切り出していいか、わかんない。 どうしよう。 どうやって、エッチに誘えばいいのだろうか? 今日は、そのつもりで準備していたのに、どうやってそんなムードを作ればいいの? 誰か教えてよっっっ!! 下着選んでる暇があったら、恵美にでも聞いておけばよかったよ………。  ベッドから反対の位置にある机に腰かけて、足をブラブラさせながら遙はCDを選んでいた。 「何か、聞く?」 「別にいい。オレ、最近の曲とか知らないもん。尾崎とかBOOWYばっか聞いてるから」 確かに、この前入った遙の部屋には尾崎豊のポスターが貼ってあったし、曲も流れていた。 うーん、さすがヤンキー?  いや、そうじゃなくて、とりあえずムードを出さなくちゃ!! 遙がHしたくなるような、色っぽい雰囲気。 ああ、わからない!! どうすれば、男の人ってその気になるの? ああ、もうマジ限界!! 頭の中に色々な考えが浮かぶものの、どれも色気には繋がらない。 こうなったら、ストレートに言ってやる!! 「遙………」 CDを漁っていた遙の動きが止まって、私を見た。 「………キス、したい」 うわ、言ったよ。 言っちゃった、私。 すっごく心臓がバクバクしてる。 「オレも」 照れて、まともに顔も上げられない私に優しく答えながら、ベッドに腰かけた。 肩を抱かれて、もう片方の手で顎を引き寄せられる。 目をつぶると、遙の優しい息づかいが触れて、すぐに唇が触れた。  アレ? キスしてる、けど、この前のキスみたいに深くない。あっけなく遙は唇をはなした。 「………」 どうして? 遙はそのまま私を胸に抱き寄せて、髪に顔をうずめながら、耳元でささやいた。 「この前みたいなキスしたら、オレ、今度こそ止まらない」 喋るたびに、遙の息が私をくすぐる。 「………止まらないで」 驚いたのか、抱きしめていた腕の力を抜いて、私の顔を覗こうとする遙の行動よりも、私が遙の背中に手を回して抱きしめる方が早かった。
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