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「幼なじみなんだ?」
植山くんは、もう見えなくなったバイクの轍を見つめている。
「うん。お隣さんなのよ」
「ちょっと驚いた、志緒理ちゃんて、ヤンキーな知り合いがいるようには見えなかったから」
…………もしかして、やばくないっすか?
今日の植山くんの服装は、今流行のモノだし、メールとかしてても、趣味とかもそんな感じだった………。
ヤンキーなんて、それこそ時代錯誤な知り合いがいるなんて、ひいちゃうよね?
おかげで、その日のデートはなんとなく会話も弾まないまま、終わってしまった。
くっそう!
絶対、遙のせいだ!
アソコで遙に会うことさえなければ、上手く行ってたかもしれないのにぃぃぃ!
ああ、イライラする!!
「あら志緒理、早かったのね」
予定より3時間も早くに帰宅すると、ママは驚いた顔していた。
ふん!
「ご飯いらない!」
ソレだけ言って、部屋に入った。
窓を開けて、隣の家の窓を見ると、電気が付いている。
密着した家同士だから、私の部屋と遙の部屋の窓って、空中距離が1メートルくらいしかないのよ。
「遙!いるんでしょ?
開けなさいよっっ!!」
趣味の悪いヒョウ柄のカーテンがサッと開くと、遙がニヤニヤ笑いながら窓を開けた。
「なんだよ、志緒理。えらく早いお帰りだな?」
誰のせいだと思ってるんだ?
この野郎。
「外で会っても、私に話しかけないでよっ!」
この前だって友達と買い物している時に、遙と、その仲間たちと偶然あって、そのおかげで友達がひいちゃったんだよね。
そんなことが、何度あったか…。
「なんだよ、フラレたの?
かっわいそう」
……こいつぅぅぅぅぅ。
ほんと、むかつく!
「だいたいねぇ、今時なぜ暴走族なのよ?
その存在だけで、ひいてしまう人だっているんだよ!時代遅れもいい所だと思わないの?」
「お前、ソレオヤジやオフクロの前で言ってみな?しめられるぜ」
………そうだった。
遙のおばちゃんもおじちゃんも、バリバリのヤンキーだった。
でも、今は更正されてるけど。
遙の背後にチラチラと見える『魔怒』と書いてマッドと読むチーム旗に、たくさんの刺繍が入った特効服。
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