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そりゃ、さすがにヤンキー全盛期みたいにパンチパーマやリーゼントとかじゃないし、眉だって全ソリじゃないんだけど、かなり鋭くつり上がるように整えられた眉に、鋭い切れ長の目。
どちらかと言うと、パーツの一つ一つは整っているし、時代劇とかに出演してそうな日本男児系の男前。
それに、ケンカが強くなりたいためなのか、知らないけど、ボクシングジムにも通っているから、きれいに成長しつつある筋肉。
ああ、それなのに、それなのに………。
なぜにゾッキーなんだろうか?
黒基調のパーカーを素肌の上から羽織ってるだけだから、かなり露出度が高くて、胸板が目に入る。
ソコに小さく赤い内出血の跡が見えた。
「ケンカばっかりしてるから、傷つくるんだよ?ソコ、赤くなってる」
遙はあわててパーカーのチャックを閉めて、私からその跡を見えないようにした。
「別にいいだろ?
志緒理には関係ない!」
何が気に入らないのか、そのままパタンと窓を閉められてしまった。その直後にカーテンまで………。
あら?
何で?
ちょっと心配してあげただけなのに、こんな態度に出られるのかしら??
ホント、昔はすっごくかわいかったのになぁ。
おばちゃんの影に隠れて、挨拶もまともにできないくらいシャイだったのに、いつの間にか、身長も抜かされてるし………。
「おっはよ!志緒理、昨日はどうだった?」
植山くんを紹介してくれた友達の恵美は挨拶なんかよりも、断然コッチの方が興味ありって感じで、目を輝かせている。
うーん………。
「ごめん!どうも無理みたい。
デートの最初で遙とすれ違っちゃってさ…、思い切り引かれた感じ。やっぱりヤンキーと知り合いってダメだよね」
「え~~~、そんな事ないよ?
遙くんって、この前の子でしょ?
けっこうかわいい顔してるから、植山がやいちゃっただけかもよ?」
いや、多分違う。
妙によそよそしくなったんだもん、遙と会ってから…。
「ま、植山がダメでもたくさんいるから、いつか絶対ダブルデートしようね♪」
「なぜにダブルデート?二人で会ってる方が楽しいんじゃないの?」
恵美は少し顔を赤くして、制服のブラウスのボタンを2つ外した。
「見て、コレ」
鎖骨に内出血の跡。
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