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店長さんから名刺をお借りし、それを車の中で眺めた
名刺に書いてある住所を読んでみてもやっぱりさっぱりわからない
近いのか遠いのか…
車で行ったらどれぐらいの時間が掛かるのだろう
『えーっと…』
住所を調べてみようと携帯をポケットから取り出した
ある程度調べ終わったらすぐに寝よう…
あー…今日もスゲー身体が痛くなるのかぁ
車の中はどんな格好で寝たら一番楽なんだろうか
『………ぅわっ!』
文字を打ち込んでる最中に急に電話が掛かって来た
うわー…いきなりだから出ちまったじゃねーか!
着信相手が誰なのかわからない…っ
『………………』
もしこの着信相手がアイツだったらこのまま切って…
いや、万が一店長さんだったら切るのはちょっとマズいよな
さっきの不動産話で何か言い忘れてわざわざ掛けて来てくれた…とかの可能性も考えられる
履歴書には俺の携帯番号が書いてあるし、店長さんの可能性も…
考え過ぎだとは思うがそれぐらい俺はテンパったんだ
『………』
とにかく声を聞いてみないと相手が誰なのかわからない
無駄に心臓をバクバクさせながら俺は携帯を耳に当てたんだ…
『………は…い』
《てめぇ何処ほっつき歩いてんだコラァッ!!!》
『…っ!』
凄まじい怒鳴り声に思わず携帯を耳から遠ざけた
こ、この声は……!
『勝哉さん!』
《何が勝哉さんだボケ!!俺が何回テメェに電話したと思ってんだ!手間掛けさせやがって!!勝手に仕事辞めてんじゃねーよクソチビ!!》
『す、すいませんっ』
いつかは来ると思っていた大魔神からの電話…まさかこんなに早く勝哉さんから連絡が来るとは思わなかった
でも電話ならまだ逃げ道がある…
怖くなったら耳から携帯を遠ざけたりいざとなったら電波が悪いと言う理由で無理矢理会話を終わらせる事が出来るから
《今何処にいる!?》
『すいません…俺もまだイマイチこの場所が何処なのか理解してないんで…』
《はぁ!?》
ですよね…普通誰でもそんな反応しますよね
『急に仕事辞めたりして本当にすいませんでした』
とりあえずこれだけは謝らないと…
目の前には誰もいないけど、無駄に頭をペコペコ下げて俺は勝哉さんに謝罪した
うん、これは日本人独特の変な癖だな
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