32人が本棚に入れています
本棚に追加
寒っ。
真冬の校舎の廊下は、かなり冷えきっていて寒い。
移動教室の授業が終わると、あたしは教室に戻ろうとちょっと早歩きした。
ほんとは、今すぐにでも走って暖房の効いた教室に戻りたい気分なんだけど、廊下を走るところを先生たちに見られると注意されるから、そういうわけにもいかないのだ。
階段を上がり、渡り廊下を歩いていると、ふと屋上へ目がいった。
空はあんなに晴れているけど、こんな寒い日に屋上なんて誰も行くやつなんていない。そう思いながら歩いていると、屋上のフェンスによじ登る人影が見えた。
「えっ?!うそ……」
なんと、その人影が屋上から飛び降りたのだ。
“自殺”
その言葉が頭に浮かび、あたしは血の気がさーっと引いた。
あたしは、持っていた教科書や筆箱をその場に投げ出し、屋上へ走った。
.
最初のコメントを投稿しよう!