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職場の小さな工場に到着し自転車を降りて、アルミで出来た扉の中に入る。 油と金属の混じった匂いが何故か気分を落ち着かせた。 奥の方にオーナーの姿を見つける。 「おはようございます」 オレが挨拶をするとオーナーは首を少しだけ縦に傾けて応じてくれた。 オーナーはいつもこんな調子で必要以外、口は開かないし普段も黙々と仕事をこなす。 昼の休憩だって時間になると黙って一人で行ってしまう。 オレが嫌われているわけではなく、単純に職人気質な人なんだ。 奥さんとの会話らしい会話ですらオレは聞いたことがない。 オレは旋盤に向かって座ると箱に入った金属の固まりをセットしスイッチをいれる。 機会によって金属が削られていく音が工場内に響き渡る。 この最初の聞く音が一日の仕事の始まりを知らせる合図みたいなものだ。 金属が形作られると旋盤は止まる。 金属の固まりから部品へと形を変えたものを旋盤から取り出し、また新たにセットする。
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