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「………」
痴漢なんて女の子だけがあうものと思っていた。だって考えてもみなよ。男の尻をさわって何が楽しいのだろうか。くぐもった男の声をきいて何が楽しいのだろうか。
そういう趣味ある男なら楽しいだろう。が、普通の男ならそれはキモイだけだ。
僕は童顔だが女と間違われるほどではない。スカートはけば女……なんて事もなく、顔は幼いがちゃんとした男だ。声だって声変わりしている。でも声変わり前も後も正直あまりかわっていない。つまりはずっと求めていた男の低い声を手に入れてはいないという事だ。つまりは何がいいたいかというと声は高い方だった。
「………」
ガタンゴトン
ぎゅうぎゅうに詰められてる朝の電車内はなんともいえない臭いを放っている。
男の汗と女の香水とあとは何かの臭い。それらが全て合わさったなんともいえない悪臭が車内を満たしていた。
(気持ち悪い…酔いそう)
そして身じろぐたびに撫でる位置もかえてきて鳥肌がたった。
…勘弁してくれ朝から…
かといってすぐさま逃げられる状況でもない。車内は少しでも動くと人とぶつかるくらいにぎゅうぎゅう詰めされている。
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