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するとリビングの壁に
掛けてあったデジタル時計が、
ピピピ、と8時を知らせる
ベルを鳴らしたのだ。
「ヤベー、もう8時だ!
行こ、遊子!
入学式早々遅れる!」
父親の出席しない入学式だが、
2人は大して気にしては
いなかった。
時計のベルを聞いた夏梨は
あわてて立ち上がり、
ソファーに置いてあった
鞄を手にとった。
「あ、ほんとだ!」
遊子も食べ終えた食器を
片付けるため、
キッチンの洗い場に立ったが、
その隣に一護が並ぶ。
「お前ら先に行けよ
入学式早々遅れたら、
洒落になんねぇだろ?
片付けは俺がやっとくから」
「……そう?
じゃあお兄ちゃん、
あとお願い!」
遊子もまだ真新しい鞄を
手にとって、
リビングを出ていく夏梨の
あとをついていく。
「行ってきまーす」
「じゃあね、お兄ちゃん!
食べたいもの、
ちゃんと考えといてねー!」
「ああ。行ってらっしゃい」
「うん、行ってきます!
夏梨ちゃん待ってー!」
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