新たなる幕開け

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「ウルセーな。 あの頃いろいろあったんだから しょうがねえだろ。 それにまだ中の上だ」 啓吾の言葉に無くなりかけの ジュースをズズズと 飲みながら啓吾から視線を 逸らす。 そのとき啓吾の口から これもまた予想外の言葉が 出てきた。 「…ルキアちゃん、 何してんだろうな。」 「…………。 なんでソコでルキアが 出てくんだよ!」 「だってさー たまにはカオぐらい 見せてくれても良くね? あれから1回も カオ見せないなんて冷たくね?」 「冷たくねえよ。 元々空座町の担当は 外れてんだ。 カオ見せねえのが普通なんだよ」 「…淋しくね?」 「……淋しいワケねえだろ 16年かけて手に入れた 普通の生活だぞ。 このまま死ぬまで平和で結構」 俺はもたれていた格子から離れ、 屋上から校舎内へと続く階段の 扉に手を掛ける。 「…それもそーだなっ。 俺ももうあんな怖えー思い したくねえし。」
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