新たなる幕開け

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そういえば、 あれから俺の手元に残った 死神の証明がもう一つ。 俺は逃げた男の肩を左手で掴み、 男が振り向いた瞬間に右手で カオを思い切り殴って 地面に叩きつけた。 男は咄嗟に懐からナイフを つきだして俺に向けてきた。 が、俺は左手でナイフを 受け止めた。 ナイフの刃は中指と薬指の 間に綺麗に挟まった。 そして最後の一発を ツラに食らわす。 俺に残った死神の証明の もう一つは、 勝つために鍛えたこの身体と 反射神経だ。 こういう場面でそれなりに 役立ってる。 「ホラ、これアンタのだろ?」 「ありがとう! お陰で助かったわっ!」 俺が盗まれた鞄を 女子生徒に返すと女子生徒は、 心底嬉しそうな表情を見せた。 その表情に一瞬胸が 高鳴る。 夕焼けに染まったような 長いオレンジを帯びた 茶色の髪を1つに束ね、 優しい薄いブラウンの瞳をした 少し大人びて見える女子生徒だ。
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