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「あ、そういえば!」
なにか思い出したように
宮野はティーカップを
テーブルに置き、
話を切り出した。
「一護君さ、
この辺りで有名な日本刀の
名前とか知らない?」
「えっ、日本刀?
なんでそんな……」
「興味があるだけ!」
「さあ、知らねえけど」
「そっ……か。
―――!!!」
すると急に宮野の顔が
険しくなり、
いきなり椅子から立ち上がる。
「どうした、宮野?」
「……来る!」
そう呟いたあと、
宮野は鞄を持って足を
走らせた。
「あ、おい!宮野!!」
俺は急いで勘定を払って
店から飛び出した宮野を
追いかける。
「おい宮野!
どうしたんだよ!!」
彼女は俺の問いにも答えず、
ただどこかに目指してるように
迷いのない足取りで走っていた。
そして宮野が足を止めたのは、
ショッピングモールから
程近い空須川の土手。
底まで見える澄んだ川は
緩やかに流れ、
辺りは静けさに包まれていた。
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