新たなる幕開け

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「さぁ、娘たち! ダンディーなダディーに お別れのハグをしておくれ!」 大きく両手を広げた 一心を見向きもせずに、 一護、夏梨、遊子は 食事を続ける。 「ううっ……! 母さぁーーーん! 旅立つ家長に対して 娘たちが冷たいよぉおおお!」 「つーか、 その遺影いい加減 どうにかしろよ」と 一護が呆れた顔でツッコむ。 ポスターサイズに 引き伸ばされた妻・真咲の 遺影にすがりつく一心の 後頭部に、 夏梨が投げたスリッパが スパーンといい音を立てて 命中した。 「とっとと行ってこいッ!!」 頭をさすりながら 振り向いた一心は、 おとなしく帽子を被り、 上着を着て、鞄を持った。 「じゃあ、行ってきまーす! スキップスキップ ランラララ~ン♪♪」
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