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一心はルンルンと
スキップをしながら
家を後にした。
家長を見送った黒崎兄妹は、
食事のスピードを速める。
「ねぇお兄ちゃん。
今日の夜、何が食べたい?」
遊子に訊かれて一護は
顔を上げた。
「ん?」
「お父さんいないから、
おにいちゃんの
好きなものを作るよ!」
「なんでもいいよ」
一護は、本当になんでもいいと
思っていた。
遊子の作る料理は、
どれもおいしいからだ。
「イチ兄、せっかくだから
何かリクエストしなよ!」
夏梨が一護をじっと見て言う。
リクエストしてやるのが
妹孝行だろ?と言いたげな
目だった。
それを察して、一護は少し
考え込む。
「んー、そうだなぁ……
それじゃ、カレーがいいな」
「え~~~、
それじゃあいつもと
かわらないよぉー」
「あ、じゃあ私もカレーで
いいよ」
「夏梨ちゃんまでー!
もう少し凝ったものも
作れるもんッ」
料理上手な遊子には、
物足りないリクエスト
だったらしい。
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