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夢を見た。
凄く凄く…懐かしい夢。
懐かしい…?
その表現は間違ってるかもしれないけど…
涙が出るくらい
懐かしく
そして愛しい…夢を見た。
―ねぇ…約束…
―生ま…変わっ……傍に…
―何し……の
―早く…
――――ガバッ
「ッッ……!!!!」
な…なんだ今の夢…
遼はベッドから身を起こせば、冬だというのに汗をびっしょりとかいていた。
外はまだ暗く、寝ていた時間は意外にも短かったようだ。
遼は自分の見た夢の内容を必死に思い出していた。
いや…思い出さずとも、それは鮮明に遼の脳裏へと焼き付いているのだが。
遼は夢の内容を整理していた。
断片的なまるで走馬灯の様な、そんな夢。
そして囁きかける、何処かで聞いた様な女と男の声。
今までの"龍馬の夢"とは違う。
遼は不思議な感覚にとらわれていた。
もし…今の夢が…俺の未来だとしたら…
俺は………
遼はハッと何かを思いついたかの様に枕元に転がる携帯を、手に取った。
取り敢えず日付と時刻を確認する。
12月13日 PM10:25
遼が幕末に行ってから、現代では実質まだ12時間程しか時間が進んでいなかった。
…まるで浦島たろうみたいだなぁ…
そんな事を考える。
「ってか時間はどうでも良いや…それより……」
遼は携帯のインターネットのページを開き、検索をかけた。
"新撰組"と。
そしてヒットした中から分かりやすく、尚且つ詳しく書いてあるサイトを探す。
新撰組の歴史などほとんど知らない遼。
何が起きてどうなるかなど、その様な知識は皆無に等しかった。
遼は咄嗟に検索したは良いが、正直見るか悩んだ。
見たところで自分が幕末に戻れなければ意味が無いからだ。
だが、遼はある人物の紹介ページだけは迷わずに開いた。
沖田総司のページである。
携帯を持つ手が震えるが、どうしても知りたかった。
いや、知らねばならなかった。
先程まで見ていた夢のことを、確かめる為に。
遼はドクンドクンと緊張からか鼓動が早くなっていたが、沖田の生涯をゆっくりと読んで行く。
……そして最後まで読み終えた遼は、他のページを見ようともせずパタンと静かに携帯を閉じ、目を伏せた。
さっきの夢は……
あいつが俺に…見せたのか…?
それに…あの言葉……
まさか……ね…
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