坂本龍馬と坂本遼!!!

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京都、伏見は寺田屋。 川沿いに面した船宿。 遼は何故かここまでの道程を知っていた。 デジャウ゛とでもいうのだろうか。 この寺田屋も、見れば見るほど懐かしさが込み上げてくる。 そして遼は知っていた。 ここの女将さんがお登勢という名だということも。 いや、思い出したという方が正しいか。 薄れつつあった夢の中の記憶が、鮮明に甦ってくる。 「お帰りなさい坂本はん」 扉を開けて中に入れば、早速お登勢が出迎えてくれた。 お登勢さんも…夢で見たまんまの顔だ… 「あら、そちらの方はお客人様?」 「おぅ。すまんがお登勢さん、ゆっくり話がしたいき暫く誰も通さんどってくれんかのぉ」 「へぇ。もし誰か訪ねて来はっても追い返してええんどすか?」 「構わんき。ほなよろしく」 遼はお登勢に軽く会釈をして、龍馬の後をついて部屋に上がった。 龍馬は腰のモノを外せば、端の方へポイッと投げ捨てた。 それはガチャンと音をたてて虚しく横たわる。 「俺にはこのピストルっちゅー強い味方がおるき。刀なんぞいらん」 そう言いながら胸元からチラリと銃を覗かせる龍馬。 遼はそれが威嚇だとわかり、不安が募る。 心臓の音が今までにないくらい、大きく鳴り響く。 「まぁこっちゃ適当に座りや」 「あ…はい」 「そうかたくなりなや」 誰も殺そうちゃ思おちょらん…と、胡座をかいて頭をポリポリと掻く龍馬。 「ほんで…なんじゃったかのぅ。おまん、なんしにここへついて来たんじゃぁ?」 「………へ?いや…龍馬さんが寺田屋でゆっくり話そうって……え?!てか俺が勝手についてきたことになってるんすか?!」 遼は龍馬があまりにとぼけたことを言うものだから、つい緊張が弛んでしまう。 「お~っそうじゃったそうじゃった!いやぁ最近悩み事がこればぁいっぱいあって、色んなことを忘れてしまうがぜよ!」 すまんのぉ、と龍馬はおどけて見せる。 遼にとって龍馬は本当に不思議な人だった。 怖い顔をしたかと思えば、次の瞬間には子供のように笑う。警戒しているかと思えば、そんなことを微塵も感じさせない無防備さ。 本当にこれが、あの夢の中の自分……龍馬なのかと疑ってしまう。 「さぁ思う存分話しぃや。聞いちゃるき」 龍馬は寝転びあくびをしながら言う。 この人……ふざけてる!!!? 遼は顔が引きつった。
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