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しまいには鼻くそまでほじる始末。
なんだぁ?!この人は!!!
怒りを通り越して呆れてしまう遼。
「なんじゃ?早う話しぃや」
「あ、…あの真面目に聞いて下さいよ…」
聞いちょる聞いちょる、と手をヒラヒラさせる龍馬。
こ、この人……
遼は小さく溜め息をついたが、取り敢えず話してみようと思い口を開いた。
「まずですね…私は平成22年…2010年の日本から来ました。…きっかけは、夢で…龍馬さんの夢を見始めてから頭痛がし始めて…」
本人を目の前にしたら意外にも説明が難しく、口籠ってしまう。
「…ある日頭痛が酷くなって、気が付いたらこの時代に来ていました。……夢の中で、俺は龍馬さんでした。龍馬さんの意識の中に入り込んだような…そんな不思議な感覚でした」
「夢の中で…陸奥陽之助という人、勝海舟という人…吉田稔麿、他にも亀弥太、桂、武市、以蔵…乙女姉さん、お富さん、お龍さん、千葉道場…そして才谷屋……他にも色んな人の名前や場所が出てきました」
それらがスラスラと口に出てきたのは遼自身が一番驚いていた。
龍馬にとり憑かれたかの様に…走馬灯の様に…様々な場面が様々な人たちが脳裏に浮かんでいた。
脳裏に浮かぶ限り、どの様なことがあったかどの様な人と出会ったかを隅々まで話した。
まるで龍馬の生き様をすぐ隣で見ていたかのように。
それだけの事を聞かされた龍馬も、さすがに驚きを隠せないようで、寝ていた体を起こし遼に向き直った。
「おんしゃ…どういて……どういて知っちゅうがか…?」
遼は龍馬の目を力強く見つめ、言った。
「だから…夢で見たんです」
「こりゃぁ…まっことたまげたぜよ。……おまん、ただのべこんかわやなかったがか」
「…信じて貰えますか?」
龍馬はうーん、と一度唸れば大きく頷いた。
「信じんことにゃぁ…どうもこうも説明できんぜよ……」
龍馬はハッと何かを思い出したかの様に遼に尋ねた。
「…おんしゃぁ未来から来たんじゃろ?…日本は、日本はどうなっちゅう?身分も差別も無い、まっこと誇れる国に…なっちゅうがか?」
龍馬はキラキラした目で遼を見る。
…ああ、この人は本当に坂本龍馬だ。
俺が会いたかった…坂本龍馬だ。
夢で見た坂本龍馬だ…!!!
遼は目頭が熱くなるのを感じ、目を閉じた。
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