坂本龍馬と坂本遼!!!

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遼はご飯を食べてお風呂に入って、早々と布団に入り今日1日のことを思い返していた。 町に出た理由は元はと言えば、野口の切腹が原因だった。 新撰組の在り方に疑問を抱き、癒しを求め甘味屋まつのへ行き、町をぶらついていたら見廻り組と遭遇。 そして坂本龍馬と出逢った。 二人で命の尊さを説いた。 これからの日本の在り方を説いた。 守りたいものがあると誓った。 そして…龍馬の最期を見た。 出逢った日に、最期を見るとはなんとも皮肉な巡り合わせである。 遼はどうやったら大切な人達を守れるのかを、屯所に帰って来てからずっと考えていた。 剣術はまだまだ未熟だ。 学力も然程あるわけでもない。 どうすれば、時代の流れによって失われる命を食い止めることができるのだろう。 考えても考えても答えは出てこない。 最も、新撰組では局の決まりが絶対である。 それに反するものは切腹。 邪魔者は斬殺。 新撰組で権力のない遼には、どうすることもできないのだ。 ただ黙って見ているのが、自分の身を守る最善策だ。 …どうすりゃ良いんだ… 龍馬さん、あんたならどうする…? 土方さんや近藤さんを説き伏せる? 新撰組の中で権力を握れる位置に上り詰める? それとも自らの命も顧みずに強行突破? 龍馬さん、俺はまだあんたみたいにはなれないよ… 遼はふと仲間を思って喋る龍馬の笑顔を思い出し、自分の中に一つの答えを出した。 俺はどう足掻いても龍馬さんみたいにはなれない。 でも守りたい気持ちならちゃんとある。 だから、とりあえずは今自分ができることを全力でやろう。 そしておまつさんを見習って、いつでも笑顔でいよう。 守りたいものが目の前にある限り、強い心を持ち続けよう。 仲間の死を悲しむばかりでなく、残された者に何ができるか考えよう。 そして支えられるばかりでなく、友達を支えられる人になろう。 以上のことを頭で何度も何度も復唱しながら、龍馬と交わした誓いを胸に、眠りについた。 遼にとって、それはそれは長い1日であった。 そして、遼が大きく成長できた1日でもあったのだった。
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