星に願うは君に幸あれ…

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朝掃除、朝稽古、朝飯を済ませれば、かわりばんこで皆餅をついていた。 その中でも原田は率先してやる気を見せていた。 「うぉーし!!どんどんつくぜぇ!!!!」 「左之、耳元で叫ぶな。うるさい」 永倉が原田の隣で、ウザそうに両手で耳をふさいでいる。 「左之ー!次は俺の番でしょー!!」 藤堂も叫んでいる。 「藤堂くん違いますよー!次は私の番ですー!」 それに沖田も乗っかる。 今日の屯所庭はなんとも賑やかだ。 斎藤や井上も側で楽しそうに笑っている。 遼はというと…餅つきをするのが初めてのことなので、戸惑う反面しっかりと皆の輪に入り十分に楽しんでいた。 「なぁ歳…こんな生活が続けば良いなあ」 庭先の縁側に腰かけて、皆の様子を見ている近藤が口を開いた。 「良いのか悪ぃのか…ずっとこんなことしてたら武士も大名も糞もねぇよ」 土方は意地悪そうな顔をし横目で近藤を見やった。 「ははは!歳は相変わらず厳しいぜ!…お前もこんな時くらい忘れたらどうだ?」 土方はハッと吐き捨てるように笑えば 「…かっつぁんは甘いね。甘すぎる。…良いんだ俺は。あんたが大名になるまでは、休みなんていらねぇんだ」 と、武士の瞳で告げた。 「有り難う、歳…。俺と歳で夢を果たそう!」 なっ?と土方の背中をバンッと叩いて近藤は言った。 「ああ、夢を…な」 土方も笑ってみせた。 近藤は満足そうに頷けば、俺もちょっくら混ざってくるか!と言い賑やかな皆のもとへ駆けて行った。 土方はボーッと皆の様子を見ていた。 こんな日がずっと…か。 それも悪くないな、という考えが過り土方は自嘲するようにフンッと鼻を鳴らした。 「…土方くんはまざらないんですか?」 背後から声がし、土方は振り返るわけでもなく言った。 「サンナンさんこそ」 ハハハと穏やかに笑いながら、山南は先程まで近藤が腰かけていた場所に腰をおろした。 「僕は江戸にいた時もあまりついたことがないから」 「ふぅん……」 土方が然程興味もなさそうに言えば、しばしの沈黙が二人を包んだ。 沈黙を破ったのは山南だった。 「そういえば土方くんは、今の原田くんみたいだったね」 「…はぁ?俺が!?」 山南は微笑みながら頷けば、思い出す様にゆっくりと口を開いた。
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