序章

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幻世(ヴィンセント)と地球の間には、“大いなる世界の硲”と幻世の住民によって呼ばれる薄い膜がある。 正確にいえば、幻世の周りを薄い膜が覆っている状態である。 大いなる世界の硲は、原理こそ解明されていないが、“生命体だけを”通さない壁である。 だから幻世の住民は外に出ることもままならないし、無論外から生命体が入ってくることもない。 しかも都合の良いことに、幻世からは地球の姿がバッチリと見えるのに、向こうからはこちらが観測できないらしい。 大いなる世界の硲はマジックミラーのような役割もあるようだ。 なぜ、そのようなことがわかったのか。 それは幻世の恐るべき科学力ゆえである。
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