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「・・・相変わらず凄まじいな」
窓の外から覗いた風景は先程と何一つ変わらない。
だが光景は騒がしく一変してしまったのだから、朋貴がそんな事を漏らしてしまう気持ちも理解してほしいものである。
見下ろした先には、深緑に囲まれた二つの黒が存在していた。
「御影様今日も素晴らしかったです!」
「お勤めご苦労様です!」
お勤めってなんだ。一瞬本気で突っ込みたくなった。
まぁ生徒会長相手にお勤め、と言うならば生徒会活動だろう。
生徒に慕われ労られるような勇ましく凄まじい仕事があるとは思えないが。
静かに傍観する朋貴は、深緑色のブレザーを纏った一般生徒の中心で爽やかに微笑んだ男を一瞥する。
生徒会の証である黒のブレザーを着こなすすらりとした長身の男。
「ありがとう、頑張らせてもらうよ」
3年S組、御影 聖(みかげ ひじり)。
御影グループの次期後継者であり、学園の誇る優秀なる生徒会長だ。
178cmのモデル体型に鼻筋の通った端整な顔立ちは純日本人とは思えない何かがある。
しかしこの学園で何か抜きん出て目立つものがない生徒なんて3割程だろう。
(と言うのも、一般入試による入学者は3割程である故の推察である。)
「っ御影様の微笑みが・・・・・!」
「眼福だ、慈愛だ・・・!!」
意味解らん。
綺麗ではあるが眼福・・慈愛に至っては限度を遥かに超えていると思われた。
笑っただけじゃないか、と呟いた朋貴の隣では志乃が眉を顰めている。
あまりに嫌悪感を見せるので、どうかしたのかと横目に問い掛ければ志乃は心底嫌そうに口を開いた。
「・・・金持ちは好かないんです」
「お前Sクラスだろ」
「家柄なんか関係ないのに」
「それ矛盾してるぞ」
「だって・・・嫌なんです、あの連中」
なんだか志乃の言い分が子供みたいで笑いが漏れる。
Sクラスは学園内に数いる金持ちの中でも郡を抜いたトップレベルを集めたクラスだ。
学園はSを始めA、B、C、D、E、Fと7クラス存在している。
基本的に学力から振り分けられる中、SとFは特殊なクラス分け基準を持つ。
Fクラスは問題点の見受けられる所謂問題児を放り込む教室だ。
そして、Sクラスは大雑把に言ってしまえば家柄基準なのである。
そう思うとやはり良家のお嬢様なのだな、と思いながら志乃から視線を外す。
生徒会長へと銀縁眼鏡の女性が声をかけていた。
黒のブレザー。彼女も生徒会だ。
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