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──「一宮、入って来い」
教室から聞こえた担任の声を合図に、ガラリと、廊下で待機していたあたしは扉を開けた。
緊張と不安に顔をあげられず、俯きながら室内に足を踏み入れ
教卓の側まで歩を進める。
コツリ。一歩、また一歩。ローファーの鳴る音が鮮明に教室に響いて。
あたしが教室に足を踏み入れた瞬間に、ピタリと嘘のように騒ぎ声が止んだのはどうしてなのだろうか。
……確かにかの教師は言っていた。
“楽しい”を、見つけてみろと。この学校で探してみろと。
だがしかし
意を決し顔をあげて見渡した景色は
『……サファリパークですかここは』
異端の無法地帯だった。
「な、なせ…?」
愉快な世界に一つ、既知の者ぞありける。
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