黒と三十路

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赤い煉瓦擬きの道を、肩をすぼめて歩く。 至るところから聞こえてくるのは下品な笑い声だったり罵声だったり。 そして時折、あたしを好奇の目で見ては、ひそひそと仲間と話し合う男達の姿だったり。 非常に不愉快である。 あたしは動物園のパンダじゃない。 パンダじゃない。パンダじゃないのに…! 物珍しそうな視線で刺さないでくれ。 視界に映るのは、どれもこれも制服を着崩した素行の悪そうな男子生徒達。 やはり、男ばかりしか見当たらないのだった。 どちらかと言えば。 男は苦手だ。 『あっ、』 ふと前方の校舎の玄関口を見ると、女子生徒らしき後ろ姿が目に入った。 これは絶好のチャンスだ! 七瀬、いざ出陣。 そう思ったあたしは、彼女の元へと駆け寄り。 『す、すみません、あの─…』
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