黒と三十路

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声をかけると、その子は少し驚いた顔をしてこちらへ振り向いた。 うわっ、 美人…! パッチリとした黒目 薄い血色の良い唇 スッと通った鼻梁 全体的に線の細い体つき。 あたしが声をかけた女子生徒は、いわゆる美少女だった。 「どうしましたか?」 儚げな美少女は声もきれいなんだなぁ…なんて軽く変態染みた事を思ってしまったよ。 危ない危ない。 『…あ、えっと、職員室ってどこですか?』 彼女は、あぁ、と一言呟き柔らかい微笑を浮かべ 「案内しましょうか」 『い、いいんですか!』 思わぬ言葉に目を輝かせるあたし。 そんなあたしにも美少女は天使…いや女神の微笑みを返してくれた。 「転校生の七瀬ちゃん、でしょう」 『え…あっ、はい! どうして名前…』 まだ会って間も無く、自己紹介もしてないはずなのにどうして知っているんだろう。
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