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「大きく噂されてたのよ。この学校に転校生だなんて珍しいもの。それに、女の子だなんて」
彼女は猶も微笑を崩さない。
風に揺れる長い黒髪が私の視界に映り込む。
きっと手入れを怠っていないんだろうなぁ。
艶やかで綺麗だなぁ、なんてぼんやり見つめてしまった。
この学校に訪れてからずっと疑問だった事。
どうして男しか見かけないのだろうか。
どうして好奇の目を向けられるのだろうか。
どうして──
「……知らないのね」
『え……な、何を、』
「行きましょう」
ハッとして言葉を飲み込む。
「職員室まで案内しますね」
美少女は真っ直ぐと、私を見つめる。
そのビー玉の瞳の奥は、何も見えずにいた。
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