創氏改名

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最後にひとつだけ。 作品では、「小作人」と「農奴」が、混同されている。 李美姫さんの家系が、小作人あがりなのか、農奴あがりなのか判然としない。 一応簡単に説明すると、小作人は土地を所有していないだけの自由民、農奴は、人格権すらない奴隷である。根本的に違う。 一番大きな違いは、自由と危険負担である。 小作人は小作料さえ納めれば、農作業に指揮監督は受けない。但し不作の危険負担は本人である。 農奴は、生きるための最低限しか与えられず、しかし、不作は知らぬ存ぜぬである。 もともと、日々の食料しか与えられていない。 小作人が小作料払えずに奴隷に落とされるのは、見せしめ、処罰の意味もあるが、こいつは生産管理ができないという、地主側の判断もある。 豊作の時蓄えもせず、みな食っちまうからだ! 著しく生産力の低い朝鮮で、平均すれば小作人だろうと農奴だろうと生活水準に差はない。 それでも、小作人には、なにがしかのプライドは許された。 農奴の女房には、貞操権さえなかった。 旦那が農奴はらませて、子を取れば、その子は生まれながらの奴隷で、繁殖も財テクという、農奴飼育も畜産も同レベルなのである。 日帝は奴隷を解放し、小作料を引き下げ、また、新しい開墾地は、小作人に、後払いで農地を払い下げた。このことは、順送りで、農奴を小作に引き上げることを可能にした。 地主の手元の小作が不足するからである。 翻訳者は共産主義者らしい。だったらわかるだろう。 身分制度は、生産力に依存する。 生産力が上がれば、奴隷制度は解消する。 日帝前の朝鮮に農奴がいたのは、奴隷制が最適な経済規模だったからである。 当時の朝鮮は、封建制さえまだ贅沢だったのである。 日帝は、わずか36年で、奴隷制社会をニ階級特進の資本主義に導いたのである。自国の発展を遅らせてまで、先に朝鮮の奴隷制を解消したのである。 法規制でなく、生産関係に介入して成し遂げた。 共産主義的に問題を解決した。 共産主義を叫ばない日帝が、共産主義を連呼したソビエト連邦より、共産主義だったと、世界史に刻まれていい。 日帝は、李美姫さんや、姜美子さんに、しかし、ひとつだけは、額を床にこすりつけて謝る必要がある。 ここまで、日帝を信じ、日帝かぶれの汚名をかぶっても、ともに歩んでくれた、朝鮮民族の皇国臣民を守りきれなかったことを。彼女らの前で、おめおめ負けたことを!
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