いじめっ娘ー告白

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「良い子ちゃん…か…。」 確かにそうだったかもしれない。兎野さくらとは幼い頃からの付き合いだが、確かに兎野さくらという人間は昔から「良い子ちゃん」だった。 「はっ。昔からそう。誰も恨んでません。誰も憎んでません。誰も悪くないです。皆仲良くしましょうーって顔して近寄って来ても誰も相手になんかしないわよ。そんなKYな性格だから苛められたんじゃない!!ある意味苛められたのは自分のせいよね!!」 昔の事を思い出せば出す程腹が立つ。悪いとは思っていても悪態を吐いてしまうくらいだ。 「はっ、確かに」 キドテツはそれを聞いて相槌をうち、更にその後に盛大な溜め息をついた。 宮川先生とは違う嘲笑と侮蔑の意味を込めた長い溜め息だった。その、嫌味ったらしい態度は兎野に対してなのか私に対してなのだろうか。 「だけど、お前も変わらないな。いや、変わりたくないようだが?」 キドテツは皮肉めいた言葉を続ける 。 「いつまで悪役きどりでいるつもりだ。お山の大将ごっこもそろそろ終わりにして下山してきたらどうだ。」 「どーゆう意味よ?」 「そのままの意味だ。山になんて登らなくていいから、そろそろ大人の階段を登ってくれと言っている。」 遠回しな表現が多過ぎていまいち意図が掴めない。 「分かりにくい…」 宮川先生も私と全く同じ事を思った様子で呟いた。 「大人に変わるって簡単に言われても案外難しいでしょうね…。大体模範になるべき大人というのがこういう時期に見つからないですから…。」 とうとうと呟くように宮川先生は話を続ける。 「教師が見本になれれば良いのですが。大人の手本になるほど教師というものは綺麗に出来ていない。 だから子供は同じ目線の子供だけを見て、彼らなりの子供社会を作って行くんです。その社会を責める権利は大人にはないんじゃないかって…僕は思うんですけど…。」 宮川先生はちらっとキドテツの顔色を伺いながら私の方に顔を向けて話す。 目線は合わせない。 「…けどね。その社会はもう無くなったんだよ。橋下…。」 「…」 「酷な事言いたくないけど、君が作った世界はもうない。ないんだよ。」 「わかってる…」 兎野さくらが壊した。いや正確にはあの男。
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