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クラスの苛めが発覚した校内集会の翌日朝
校内集会で愛理は家出して行方不明になっていると校長が話した。
愛理についてなにか知っている事があれば担任、または警察に報告するようにとみんなに伝えられた。
そしてーたった今キドテツからは愛理捜索禁止の命令を受けた私。こと兎野さくら。
「なんでよ。」
全く理解できないといった顔でキドテツを見上げる。
キドテツはそんな私を理解できないといった言った顔で睨む。
「苛められっ子がわざわざ苛めっ子の捜索に当たらんでいい。余計に問題事が増える可能性が高い。しばらくお前はあいつに近付かない方がいいんだよ。」
「えー。」
「お前橋下に嫌われてる自覚がないのか?お前が仮に橋下を見つけたとしても橋下はお前と一緒に帰ることはしない。俺が橋下でもしない。むしろ見つかったらこれを機とばかりに確実に刺すぞ。」
そう言ってキドテツは不敵な笑みを浮かべながらじりじり近寄ってくる。
「もし、橋下が逆上して襲ってきたらお前はどうするんだ?逃げるか?まだ身体の傷は残ってるだろ?痛いんだろ?走れるか?そういえば橋下はスポーツ万能だって噂があったなぁ。だったら足もやっぱ速いんだろうな。対してお前はどうだろう?兎と名がつくからには速いんだろうな?」
「…50M…10秒」
「速いのか遅いのかわからんタイムだな。鍛えろ若者。いいか、お前からは探すな。おとなしく…いいか、お、と、な、し、く、していろ。約束だ。というか命令だ。もし、破ってみろ……」
「破ったら…?」
キドテツの顔がよりいっそう怖くなる。
あまりの怖さに少しづつ後ろに後退っていたらなんと壁に行き着いた。
げ、逃げ場なし。
キドテツは構わず至近距離まで近付いてきた。
ぱんっと平手で壁を殴りつけた後で
「破ったら…俺が橋下よりも先にストレートに襲ってやる…」
と低く…とても低い胃に直接響くような声で耳打ちされた。
まさに地獄の重低音。キドテツの一撃必殺技ではないだろうか。
私は恐怖で今にもありとあらゆる臓腑が破裂しそうだった。
「いいか、妙な動きしてみろ。ずたずたにしてやる…」
「ひぃぃぃぃぃ!!」
ばこん!!
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