第一章・始まった物語

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朝の新鮮な空気が鼻から肺へと吸い込まれていく。 そして、昨日襲われた山まで全力で走った。        † 山に到着すると躊躇無く山に入る。 木々の葉や土は、少し湿っている。 滑らないように注意しながら山の斜面を駆ける。 昨日の闘った場所は覚えてないが走りこみを兼ねているので探しながら走る。         「…はぁ……はぁ……はぁ………」 そんなに高くないので頂上に着いてしまった。 少し疲れたので座り込み休憩をする。 「……………よしっ」 数分間の休憩の後、勢いよく立ち上がり、今度は斜面を走って下る。 体の重心を後ろにして、スピードを出し過ぎないように注意して走る。 茂みを抜けると一気に開けた場所に着いた。 そこには不自然に膨らんだ土とその土に木の棒が突き刺さっている。 「はぁ……はぁ………見つけた……」 一度立ち止まり、呼吸を整える。 「ふぅ………………」 呼吸を整え終えると、昨日俺が殺した野犬の墓の前に立つ。 「……ありがとう。この世界での俺の役割が見つけられそうだ。 だから……来世では幸せに」 次の世では、優しい飼い主の下で暮らせたら良いな…… 目を閉じ、両手を合わせ拝む。感謝を込めて…… 目を開ける。 「よしっ!帰って筋トレだ!」 絶対子どもが言う言葉じゃないなと思いながら、走ってこの場を去る。         家に走って帰ると玄関に姉さんが仁王立ちしていた。 あの天然の姉さんからは考えられないほどの威圧感が…… 「………桜ちゃん?」 この状況でちゃん付けは……何て言葉が喉まで上がってきたがどうにか押し込み、黙る。 「…………心配したんだからッ!」 一瞬にして姉さんから威圧感が消え、俺に抱きついた。 「よかったよぉぉ!グスッ……よかったよぉぉ……」 泣きながら、俺の体に強く抱きつく。 いつもなら突き放しているところだが……今回は俺が悪いからな……。 姉さんが泣き止むまでずっと抱かれている俺だった。
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