第一章・始まった物語

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暫く経った後…… ?「ふぅ……これくらいか?」 作業の手を止め、一息吐く職人さん。 そんな職人さんに、横から声を掛ける。 「すみませーん」 ?「お?何だ坊主」 やった!初めて人目で男と言って貰えた! 実は名前と同じく女の子っぽい容姿なんだ。 一人感動しているわけにもいかず、用件を言う。 「武器を作ってもらいたいんですけど」 「武器?坊主が使うのか?」 「そうです」 俺が使うと知り、少し悩む職人さん。 「……こんな平和な村で武器とは……何のためだ?」 「来るべき日のため、幸せを手に入れるため」 職人さんの目を真っ直ぐ見る。 職人さんの老けた顔(目測で60はありそう)にさらに皺が出来る。 笑っている。 「そんな怖い顔するなって、坊主に武器を作るのは正直気が引けるが、分かった。 それで、後ろにいるのは親御さんか?」 そう言われて、振り返ると父さんが立っていた。 「そうですよ」 俺の代わりに親父が返事をする。 「武器を与えることには賛成なのか?」 「はい」 「そうか…大変な子を持ったな」 「逞しく育ってくれるのなら良いんですけど……無茶はして欲しくないものですね…」 「はっはっはっはっ、逞しく育って何ぼだよ! よし、坊主。武器は何が良い?」 職人さんが俺にいきなり語りかける。 本人の目の前で、しかも初対面で大変な子って……酷い言われようだ…… 「剣二振り、弓一張、槍一本、偃月刀一本」 「………ちょっと待ってろ」 欲しい武器を伝えると、それだけ言って建物の奥へと消えていった。 10分くらいが経過したとき、職人さんが布で覆われた荷物を抱えやってきた。 ガシャン! 「ふぅ~……」 布で覆われた荷物を勢いよく下ろし、布を広げる。 そこには、俺が言った全ての武器があった。
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