第一章・始まった物語

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       † 村人たちの大きな声が聞こえる。 この村で姉さんは老若男女に好かれている。 困っている人がいれば助けたがる性分で村の人を助けて回っていた。 俺もそれに良く巻き込まれていた。 「ふわぁぁぁ~~~」 姉さんを見送った後、俺は大きな欠伸をした。 「大丈夫?隈が出来てるわよ?」 眠そうな俺を心配して母さんが話しかけてくる。 「少し寝不足で…あ、そうそう。後七日くらいに俺も旅立つわ」 「……そう…寂しくなるわねぇ……」 俺の言葉に制止の声もかけず、しみじみとする母さん。 俺はもう一度欠伸をしてから話す。 「この村は一時は安全だろうし、そろそろ外の世界を見たくなったから」 この会話はここで終わりと言わんばかりに母さんに背を向け、俺の部屋に入ろうとする。 「安全って………?」 その疑問に答えることもせず、部屋に入った。 直ぐに布団を敷いて寝転がる。 「(流石に連戦は疲れるわ……しかも、百単位の奴らとかいるし……これでこの村の平和を護れたのなら……)」 姉さんが旅立つと聞いて、一ヶ月俺は家にいることが少なくなった。 何をしていたかと言うと、この村周辺の盗賊を根こそぎ討伐していたのだ。 これも俺が旅立つための準備。 しかし、武器が全て壊れたのが正直痛い。 長年使ってきたこともあるが、酷使しすぎたのが一番の原因だろう。 「(武器どうしようかな…おやっさんに一つ作ってもらうか…盗賊から盗った金もあるし…)」 盗賊を討伐した後は、金を盗んでいた。 武器も盗ろうかと思ったが、武器の質が悪すぎて使えないと判断したのだ。 因みに、おやっさんとは昔、武器をくれた人だ。 明後日までには、行こうと決めて眠りに着く。 翌朝、出かける準備をする。 晩に一回目が覚めたが、晩飯を摂った後また直ぐに寝た。 起きたら、まず顔を洗い、寝巻から着替える。 近所の針子さんから学んだ技術で作った服を着ている。 服は、黒一色で、体操服のような材質で動きやすいものだ。 見た目は体操服ではなく、カジュアルな服だ。 つまり、かなり実用的。 着替え終わると、最後に姉さんから貰ったお揃いの白い羽の髪飾りで桃色の長い髪をポニーテールのようにして留める。 本当は短くしたかったのだが、切ろうとする度に姉さんに止められ、今となっては愛着が湧いてしまって切れなくなった。 ポケットに金を入れ鍛冶屋へ向かう。
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