第一章・始まった物語

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       † 翌日、予定通り行商人が来て同行を頼んでみたところ無事承諾を得た。 母さんに明日出発すると告げ、それからは、山へ行き、新たな武器”闇夜”の素振りをしていた。 そして、出発の日。 「路銀持った?地図は?……」 母さんの念入りなチェックが始まった。 「大丈夫だって。姉さんじゃあるまいし」 俺は呆れた風に母さんに言った。 「そう?気をつけるのよ?」 「ああ、母さんも体に気をつけてね」 靴を履き、立ち上がる。 「行ってきます」 「いってらっしゃい」 リュックと”闇夜”を持って家を出た。 俺の服装は、黒のズボンにベルト。 ベルトにはいくつかの袋が紐によってぶら下がっている。 黒のインナーの上に黒のTシャツ、その上に体全体を覆う外套を纏っている。因みにフード付き。 手には、掌と手の甲、右手の中指と人差し指、親指を覆う手袋。 滅茶苦茶怪しい装備だ。 姉さんのように見送りはいない。 朝早すぎるからだと信じたい。 冷たい空気を肌で感じながら、村の入り口に向かった。 「よろしくお願いします」 「ああ、こちらこそ」 俺は旅を共にする商人の方に挨拶をした。 俺はただ着いていく訳ではなく護衛も兼ねている。向かう先は、荊州南陽。 江東の麒麟児 孫策が治める地だ。
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