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翌日、予定通り行商人が来て同行を頼んでみたところ無事承諾を得た。
母さんに明日出発すると告げ、それからは、山へ行き、新たな武器”闇夜”の素振りをしていた。
そして、出発の日。
「路銀持った?地図は?……」
母さんの念入りなチェックが始まった。
「大丈夫だって。姉さんじゃあるまいし」
俺は呆れた風に母さんに言った。
「そう?気をつけるのよ?」
「ああ、母さんも体に気をつけてね」
靴を履き、立ち上がる。
「行ってきます」
「いってらっしゃい」
リュックと”闇夜”を持って家を出た。
俺の服装は、黒のズボンにベルト。
ベルトにはいくつかの袋が紐によってぶら下がっている。
黒のインナーの上に黒のTシャツ、その上に体全体を覆う外套を纏っている。因みにフード付き。
手には、掌と手の甲、右手の中指と人差し指、親指を覆う手袋。
滅茶苦茶怪しい装備だ。
姉さんのように見送りはいない。
朝早すぎるからだと信じたい。
冷たい空気を肌で感じながら、村の入り口に向かった。
「よろしくお願いします」
「ああ、こちらこそ」
俺は旅を共にする商人の方に挨拶をした。
俺はただ着いていく訳ではなく護衛も兼ねている。向かう先は、荊州南陽。
江東の麒麟児 孫策が治める地だ。
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