第二章・江東の麒麟児

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「ふ~ん……」 隣の奴は、興味無さそうに、返事をして、俺が返した酒を飲んだ。 「そんなことより、聞いてよ。 私の部下がさ~…ゴクッ……仕事しろって煩いのよ~………」 そんなこと…とか言うなら、聞くな!……とツッコミを入れたかったが喉辺りで押し込めた。 そして、酒の勢いか何か知らないが愚痴を零し始めた。 「私も頑張ってるのに……ゴクッ……いつもいつも、仕事しろって………ゴクッ……しかも、仕事中に誰がお酒を飲んではいけないって言ったのよ。 支障が無ければ…ゴクッ……いいじゃない。」 ツッコミ満載な愚痴をありがとう。 俺は、その愚痴を右から左へ受け流しなす。 そして、食べ終わったのに帰らないとは居心地が悪いので、餃子を注文。 その間にも、愚痴はエスカレートしていく。 もう聞くに堪えないので完全にシャットアウト。 愚痴の内容が切れるか、酔い潰れるまで粘るしか無さそうだ。 俺の唯一の良心が帰るなと訴えているから、帰る選択肢はない。 「それでさ………あ、貰い!」 餃子が来て、食べようとしたところを、横から奪われた。 「やっぱり、ここのご飯は美味しいわ~。」 さっきの愚痴を言う不満な顔が一気に喜びへと変わる。 うん……まぁ、こっちの方が可愛いな…ゴホンッ………少しくらい愚痴に付き合ってやるか…街は明日、歩き回れば良い。 それから、餃子を二人で摘みながら、一方的な愚痴を聞きまくった。
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