第二章・江東の麒麟児

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       † 黒い怪しい外套を着けた小僧(背が低い)が森の中に逃げよった…… 「良い選択じゃな。 では、儂はそれにまんまと引っかかってやるとしようかの……」 走って小僧の後を追いかけた。        † 林の中であっても自分のいる場所が手に取るように分かる。 それだけここに馴染みがあるというものだ。 「………ふむ、見つからんな」 黒い外套じゃから直ぐに見つかると思うたんだが……身を隠すのが上手のようじゃ……ん? 「………そこか!」 茂みの端に黒い布が見えた。 そこに向かって、素早く矢を3本放った。 刺さったのを確認して、儂はそこに向かう。 茂みを掻き分けるが、期待していた小僧はそこにはいなかった。 小僧が着ていた外套だけ矢が刺さった状態で放置されていた。 「……………どこ…「動くな」」 いつの間にか、首の真横には両刃の刃が添えられていた。 「矢と弓を茂みに向かって投げろ。 その後、両手は頭の上だ。」 「………………」 「抵抗しようとしても無駄だ。 妙な動きをすれば首を刎ねるぞ」 背中から感じる異常なほどの殺気を受け、為す術もなく弓と矢を茂みに放り込んだ。 「は~い、そこまで~」
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