序章・終わりは始まり。

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「……詳しく」 「ある世界に行ったとき、記憶を忘れるなどしないで、何かこういうのあった気がする、くらいに記憶をさせてください。 あ、転生したという事実は確実に覚えさせてくださいね」 僕は出来るだけ、軽く、陽気に言う。 「つまりは、忘れることも無く、思い出すことも無い、ただ、漠然とした記憶がある状態にしてほしい……か…まぁ、いいよ。君さえ良ければね?」 「………………」 その言葉に僕は黙ってしまった。 しかし、今までの記憶を持っていくには、これから先僕にとっての枷となってしまうだろう。 でも、消したくないという気持ちがある。 だから、これが僕の妥協点であり、意志が弱いところだ。 「ふふっ……記憶はいつも徐々に消していくんだけどね。 わかった。 確認として、 武術の才能。 努力の才能。 記憶の曖昧化。 …………そうだね…努力と武術は同じっぽいけど……」 武術と一つに定めたのは、努力だけでは超えられないものがあるから。 そして、努力と言ったのは、才能だけでは意味が無い。 それと色々こなしてみたいから。 「うん。わかった。 それと、転生のことは完全に記憶させておくね。 ここで起きたことも。死んだときの記憶は……曖昧にしとくね。 何故死んだという事実は残しておくから」 「はい。ありがとうございます」 「ははは、お礼を言われる立場じゃないけど……一応、どういたしまして」 そういえば、そうだったな。 こいつが原因で殺されたんだった。 ?「神さ……神野郎。これはどこに保管しておけばいいのでしょう」
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