1242人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
「……詳しく」
「ある世界に行ったとき、記憶を忘れるなどしないで、何かこういうのあった気がする、くらいに記憶をさせてください。
あ、転生したという事実は確実に覚えさせてくださいね」
僕は出来るだけ、軽く、陽気に言う。
「つまりは、忘れることも無く、思い出すことも無い、ただ、漠然とした記憶がある状態にしてほしい……か…まぁ、いいよ。君さえ良ければね?」
「………………」
その言葉に僕は黙ってしまった。
しかし、今までの記憶を持っていくには、これから先僕にとっての枷となってしまうだろう。
でも、消したくないという気持ちがある。
だから、これが僕の妥協点であり、意志が弱いところだ。
「ふふっ……記憶はいつも徐々に消していくんだけどね。
わかった。
確認として、
武術の才能。
努力の才能。
記憶の曖昧化。
…………そうだね…努力と武術は同じっぽいけど……」
武術と一つに定めたのは、努力だけでは超えられないものがあるから。
そして、努力と言ったのは、才能だけでは意味が無い。
それと色々こなしてみたいから。
「うん。わかった。
それと、転生のことは完全に記憶させておくね。
ここで起きたことも。死んだときの記憶は……曖昧にしとくね。
何故死んだという事実は残しておくから」
「はい。ありがとうございます」
「ははは、お礼を言われる立場じゃないけど……一応、どういたしまして」
そういえば、そうだったな。
こいつが原因で殺されたんだった。
?「神さ……神野郎。これはどこに保管しておけばいいのでしょう」
最初のコメントを投稿しよう!