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†
城に到着し、玉座の間(宴会の時に聞いた)に入り、最初に見た光景は雪蓮が机にうつ伏せに倒れているところだった。
「…何があったんだ?」
「ただの書類整理さ」
冥琳が鼻で笑いながら言った。
会話がなくなり静かになったところで暗~い声が聞こえた。
「キツイキツイキツイヤダヤダヤダヤダヤダ」
「………ただの書類整理だった?」
雪蓮が呪詛を唱えるようにブツブツと呟いていた。
「ただの書類整理だ」
ただの書類整理だったそうです。はい。
「ん?その紙は?」
机の上にポツンと一枚の書類が置かれていた。
「これか?読んでみると良い」
ニヤリと企んだ笑みを浮かべ書類を渡された。
これほど意地の悪そうな笑みを見たことがあるだろうか……
「えーと………」
今更、返却出来るわけも無く大人しく書類を読んだ。
どうやら、細作の報告書らしい。期日は……丁度俺が盗賊狩りをしてたころかな。
「…………………」
「おや?どうかしたか?」
冥琳は何て意地の悪い奴なんだ。
その笑みと言い、この書類と言い………
「……それで?」
「言わないと分からないのか?」
「いや………うん、これは俺だね」
返答はこれでいいと思ふ。
心の中で少しボケながら自分を落ち着かせようと努力する。
まぁ……無駄なんですけどね。
「そうかそうか………ならちょっっっっっと頼みごとがあるんだが……」
本当にちょっとなのか?
強調しすぎてちょっとじゃなくなってる気がするんだが?
「まぁ……聞くだけなら……」
「そうか、引き受けてくれるのか流石桜香だな」
もう知らね。この人に何言っても無駄だ。
「明日に賊の討伐に行かなくてはならないんだ。
しかし、雪蓮は用事があっていけない。
私もそれに付いて行く。
祭殿は………何かあるだろう。
それでだ……お前に賊の討伐を任せようと思っているんだ」
「就任早々難しい仕事だね」
雪蓮と冥琳は兎も角、祭さんは何だよ。
何かあるって……誤魔化しきれてねぇよ!
無駄だから何も言わないけど!
「大丈夫だ、この報告どおりの武があれば一人で倒せるさ」
「俺そんな強くないよ?」
「お前に任せた。吉報を期待しているぞ」
強引に話し打ち切られた!
せめて敵の数とか教えてくれ!
「ああ、言い忘れてた。
敵の数は500。
場所は正門から街を出て数里先の山だ。
さあ、晩御飯にしよう」
冥琳の教育方針は”獅子の子落とし”だな。
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