第三章・呉

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       † 「いてててて……」 あれから、冥琳には謝り続け、雪蓮にはどうやって倒したのか今度殺ろう?など言われた。 勿論、後者は拒否。 今は自室に戻り額の治療を行っている。 「まさか土下座で血を流すことになろうとは……」 自分でも吃驚だ。 額の治療も終わり、寝台に仰向けに転がった。 聞けなかったなぁ……。 結局目については聞けずじまい。 そういえば、明日休みを貰ったんだった。 ゆっくりしよこっと………。        † 「は~い、桜香さ~ん。 お勉強を始めましょう」 「…………………」 目覚ましは眠たくなりそうな声だったことだけを記しておこう。 「おやすみ」 「だめですよー!」 毛布を奪い取られた! 「お勉強しないと私が怒られるんですから」 「………へーい…」 起こしに来た穏のためにも寝台から起き上がった。 「では、今の呉の状況についてですよ」 「ふぁぁぁぁぁい」 欠伸と返事が同時に出てしまった……恐るべし、穏。 君の普段の声は、授業中の先生の声と同じ力を持っている。 「今の呉は、はっきり言いますと不完全です。 孫堅様の死後、うま~い具合に袁術さんっていう人に取り込まれて我が主、孫策様は今袁術さんの客将っていう身分になっています」 「へ~……」 「それで袁術さんはですね、賊などが出るといっっつも私たちに押し付けて高みの見物をしてるんです。 本当、嫌になっちゃいますよね~」 「じゃあ、昨日の奴も?」 「はい、そうですよ。 近辺の村を荒らして回っていたのでこちらで討伐しようとしたら袁術さんからの命令で孫策様はやる気を無くしてて……そこで桜香さんに白羽の矢が立ったわけですよ~」 「祭さんは?」 「同じ理由です」 俺は下っ端中の下っ端ですか。 まぁ当然ですけど。 「昨日は袁術って奴に呼ばれてたのか?」 「はい、桜香さんが将になったことを知ったのでしょう。 あわよくば自分の配下に~と思ったのでしょうが、周瑜様に口で勝てるはずがないですのにね~」 「あー…確かに」 勝てる奴はいなくとも同等の勝負が出来そうなのは…諸葛孔明くらいだろうな……会ったこと無いけど。
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