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呉について穏に説明を受け、次の日には「じゃ、そういうことで、頑張ってね~♪」と御気楽君主に言われ、何が何だか分からないまま隊を一つ任された。
隊と言うのは、工作部隊だ。
敵の本陣に潜入し、混乱させ、こちら側を限りなく有利にするお仕事だ。
そんでもって、人数は少数。
結して人材を最小限にされたわけではない。少数精鋭部隊だ。
もう一度言うが、結して人材削減などでは無い。
そして、隊を任され早六ヶ月。
……え?時が進み過ぎ?知るか。何も無かったから書くことも無いんだよ。日本人特有の文化”察する”を発動させろよ。
それで、今現在一度も出番の無い俺の部隊の訓練中だ。
「どこにいるかな~……」
実際には出番は用意されていた。
されてはいたのだ。
しかし、我が君主様が何と軍を率いて突撃→敵全滅のコンボで出る幕が無かったのだ。
「そこだっ!!」
思考を一旦終了させ槍の石突きで草むらを突いた。
「いてっ!」
声を上げて草むらに飛び出してきたのは我が愛しい部下だ。
「気配をちゃんと消せ!」
「無理ですよ~…気配を消せなんて~」
「弱音を吐くな!為せば成る!!」
「へ~い……」
この弱音ばかりを吐くのは………
「名前なんだったっけ?」
「その件は何回目ですか?!」
「すまん。忘れた」
「張令<チョウレイ>ですよ!!」
「そう言う名前だったな。
すっかり忘れてた」
この張令は男で背は平均、筋力も平均、顔も平均。
The普通を体現している奴なのである。
「じゃあ、張令。
最初に見つかったから奢りな」
「お金が……」
この訓練は”かくれんぼ”だ。
場所はある一つの山の中。
部下(四人)を放ち、一時間後鬼(俺)が山の中に入って四人を探す。
制限時間は昼まで、約2時間だ。
これがルール。
部下の一人の提案により、最初に見つかったものは昼飯を奢る。
逆に俺が誰も見つけれなかったら俺が奢る。
これが追加ルール。
そして一番最初に張令が見つかったのだ。
「張令が暇になっちまうな……素振りでもしてろ」
「はい…………」
暗い雰囲気のまま腰に差していた剣で素振りを始めた。
「さてさて……お次は誰かな~?」
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