第三章・呉

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わざと足音を大きくし、鼻歌を歌いながら山の中を彷徨い続ける。 空を見上げ太陽の位置を確認する。 もう直ぐ時間が来てしまう……。 早く昼飯を……可愛い部下を探さねばっ! カタカタカタカタカタカタ 某害虫の音の擬音と酷似している小さな音が聞こえてくる。 闇夜で木を叩く。 なるべく音が大きくなるように。 ガサガサッ! もう一度叩く。 ガサガサガサッ!! 「てめぇはもうちょい自身をもて!!!!!」 「ヒィィィィィィィィ!!! すみません!! すみません!!」 時間的にも面倒くささ的にも早く終わらせたかったので、裏技を使った。 4:6くらいで後者の方が勝っているが気にしないでおこう。 とりあえず、目の前に出てきた巨漢の名前は韓心<カンシン>。 その体に似合わず肝っ玉が米粒ほどに小さい奴である。 しかし、やるときはやると信じている。 今のところ俺の部隊で一番強い。 気配を隠すのも上手い(怯えが無い状態に限る) 剣術もそれなり(上同様) 因みに禁句は『大きい』だ。 「すみません! すみません! すみません!!」 「あーそんなに謝るな。こっちが申し訳なってくるから……」 裏技を使ったのはいいが……。 その後が面倒なのを忘れていた。 「すみません! すみません! 無駄に邪魔ですみません! 大きくてすみません!! おお……き……く?」 「あ」 一人で勝手に自爆した。 「は……はは、大きくて何が悪いんだ……力があっていいじゃないか……色々役立つじゃないか…………それを……それを……」 こいつは自分の体の大きさのことで揶揄されトラウマとなっているらしい。 この状態になると…… 「うわあああああああ!!」 非常に面倒だ。 闇夜を低く構え、部下の暴走を止めるため地面を強く蹴った。
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