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「よ~し、お前ら飯行くぞ」
「お、隊長! 遅かったじゃねぇか!
って、またかよおい!!」
「その言葉、この槍で打ち返してやる。
またかよおい!!!!」
韓心を伸し、背中に担いで部下たちの許へ戻ったと思えば……
「張令が伸びてるじゃねぇか!!
飯代どうしてくれんだよ!!」
「……俺の心配はしないんですね……」
のそのそと起き上がったのは頭に大きなたんこぶを作った張令だ。
「あ、起きた。行くぞ。飯だ、飯」
「……はい」
とぼとぼ、と歩き始める張令はいつもより頼りない空気を作り上げていた。
「周艦。これ頼む」
韓心が移動に邪魔なので、隣にいた禿に渡す。
「うぉぉぉぉぉ!!
これを持つなんて、どんな体つきしてんだよ!
チビのくせに!!」
「あ? 何か言ったか糞禿。
お姫様の暇つぶしに付き合わせてやろうか?」
「ナニモアリマセン」
お姫様とは雪蓮のことだ。
戦闘を強いられそうになったとき、こいつを盾に逃げた結果、俺が助かった代償として虎と馬の素敵な調和を刻まれたらしい。
街の行きつけの店に入り、昼飯を注文する。
「酒くれー!」
「やめろ! 午後は警邏があるだろうが!!
酒の注文はなしで!!」
周艦が酒の注文をするので、それを阻止する。
後で起こられるのは俺なんだぞ!!
「おばちゃーん! お酒ー!!」
「言った傍から誰だ!!
って、雪蓮!?」
違和感なく、俺らの卓に紛れ込んでいたのは紅の衣装に包まれた孫伯符殿。
俺の記憶だと城内でお仕事中なのだが……。
「今日は部下の奢りらしいじゃない。
なら、部下である桜香は私に奢らないといけないのよね?」
「ね? じゃない!!
誰だ、嘘をついた奴は!」
「俺ですよ」
不適な笑みを浮かべるのは、何のとりえも無い普通の男児、張令。
「何故そんな嘘を吐いた!
鉄拳制裁から斬首刑。
好きなのを選べ!
オススメは斬首刑だ!」
「あ、お酒どうぞ」
「ん? ありがとー。気が利くわねー」
「もう手遅れだと!?」
雪蓮の器に注がれる酒を見ることしか出来ない俺。
持ち合わせの金で足りるのだろうか?
――これが初めての旅
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