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『綺麗な桃園がある』
そう聞いて、1人分の酒を持ってやって来た。
淡い紅色の花を満開に咲かせ、散っていった花弁が空を彩る。
外套のフードを取って、その景色を視界一杯、眼に映す。
綺麗だの、雅だの言葉で表現することが憚られるような景色だ。
食事処の女将がオススメするのも納得がいった。
近くの樹の下に腰を下ろす。
杯に酒を注いで、頭上に掲げた。
「乾杯」
口元に杯を持っていき
「お、花弁」
酒の上に浮かぶ花弁に頬を緩ませながら、花弁ごと酒を呷った。
「うわーすごーい!!」
「これは……」
「お酒なのだー!」
「ここが……あの」
背中の方から、騒がしい団体がやって来た。
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