悪女のノクターン(夜想曲)

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舞子の得意先係長で… 舞子より3才年下… バツイチ… 田畑(34才)だった。 聞けば… バブル崩壊の煽(アオ)りを受け減俸になった途端に。 小遣いも貰えず… 楽しみな晩酌も禁止され… 挙げ句… 愛情が無くなった、別れようと… 一方的に言われ… 離婚に応じたと涙目で語った。 そんな気弱そうな田畑の身の上に同情した舞子は… 『男が仕事で外に出れば、そこは戦場と同じ、多少のお小遣いは必要よね』 『まして疲れて帰宅したら一杯くらいは飲みたいよね』 『気が強い奥さんだったのね』 『でも…別れて正解だったかもね』 同情と慰めの言葉をかけると… 『舞子さん…何にも取り柄はありませんが』 『優しさと誠実さだけは誰にも負けません』 『こんな僕でよかったら付き合って貰えませんか?』 唐突な田畑の申し出に一瞬たじろいだ舞子だったが。 恋人として… (現実離れした心の恋人…襄二よりも) (リアな恋人が) (案外…こんな人となら上手くいくかも) 慎重に熟慮し… お互いプライベートには関知しないとの条件で。 離婚後…初めて男性のプロポーズを受けた舞子(37才)だった。
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