悪女のノクターン(夜想曲)

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舞子を観ながら… お節介。 …心の中で… (だったら何で、お前が打たないの?) 無視を決め込み、席立ちながら… 一声… 『頑張って』 シャネルの香り… 置き去りに… 今夜は襄二と飲みましょと… ボジョレヌーヴォー 片手に急ぎ足。 ………… その夜…ラジオから… ショパンのピアノ協奏曲… ノクターン(夜想曲) グラス傾ける、舞子の耳に心地よく… その調べに乗せて。 ミッドナイト エキスプレス パーソナリティ 襄二が… 舞子に語りかけた。 『舞子さん…今晩は』 『いつも…お便り』 『ありがとう』 『今宵…貴女の心に忍びます』 『さぁ…明かりを消して、瞼を閉じて』 『耳を澄まして…お聞きなさい』 コツ…コツ…コツ 『ほ~ら…聞こえてきませんか…?』 『そぅ…』 『襄二の足音が』 『今…貴女の…心の扉を開けました』 大人な男…襄二。 一語一語を… 丁寧に… 囁くように… 甘く…歯切れの良い重低音… 愛の言葉を耳元に… やがて舞子は… 夢心地… やり場の無い… 舞子の指先は…
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