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8階
ワンフロア、
精神神経科。
外来病棟と
閉鎖病棟。
エレベーターも
慣れたら何てことなくて。
各停な時イラつく程度。
それよりも、
たった今から入院て時。
入院病棟のドアの前に立った時。
8階が、
今日から俺の城だ!
城 よりは 砦
に近いニュアンス。
心の中でホッとしてた。
花子が
後ろにかしこまってて
鬱陶しかった。
ほんとは謝りたいし
親孝行したいし
感謝してるし
でも
俺は
逃げようとした。
なのに
まだ
憎んでる。
それを
隠してる。
隠そうと努力してる。
自己保身。
家族の誰も彼もが。
皆
同じ。…
手前のドア。
壁に埋め込まれた
旧式のインターフォンの
ブザーを鳴らす。
ドア自体
ちゃちいのにカギの音は
有り得ないぐらい重厚。
笑ってしまうだろ。
いいから早く。
早く開け。
いよいよ自由だ。
早く!!
閉鎖病棟入院なのに
自由!
とか。
けど
そう思って
ワクワクしてたのは事実。
他にも
清々した、
って言う患者さん達が
居ました。
自由…。
ありとあらゆる
ドアにカギ。
ありとあらゆる
窓にカギ。
窓の外には
ステンレス製の柵。
やった、…
ここでは
もう
ヒトデナシの顔色窺わなくて済むんだ。
シガラミ
って
漢字で書くと、
柵
なんだって。
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